安全な妊娠期ワークアウト:トリメスター別ガイド
妊娠中も安心して体を動かそう。1・2・3トリメスター別に、安全で効果的な運動・エクササイズ・修正方法をまとめた総合ガイド。

妊娠は、身体的にも精神的にも大きな変化の時期。
特に「運動」は、何が安全で何が危険なのか不安になるのは当然です。
長年「妊娠中は休むべき」という考えが一般的でしたが、現代の医学はまったく違う意見を示しています。
実際、妊娠中に体を動かすことは、あなたと赤ちゃんの健康にとって最も良い行動のひとつです。
ACOG(米国産婦人科学会)は、ほとんどの妊婦に「週150分の中強度の有酸素運動」を推奨しています。
その効果は絶大です:
- 腰痛や骨盤痛の軽減
- 便秘やお腹の張りの改善
- 妊娠糖尿病の予防・改善
- エネルギーUP、気分の改善
- 睡眠の質向上
- 出産に必要な筋力と体力を構築
しかし、妊娠中の体は妊娠前とは違います。
重心が変わり、靭帯がゆるみ、エネルギーも日によって大きく変化します。
だから必要なのは “賢く運動すること”。
このガイドでは、各トリメスターに最適で安全な運動方法を詳しく解説します。
ゴールデンルール:まず医師に相談を
運動を始める・続ける前に、必ず医師または助産師の許可を得てください。
特に、心臓や肺の持病、前置胎盤、早産リスクなどがある場合は制限されることがあります。
Table of Contents
- 妊娠中の安全な運動ルール
- 危険サイン:即運動を中止して医師に連絡
- 第1トリメスターのワークアウト(1〜13週)
- 第2トリメスターのワークアウト(14〜27週)
- 第3トリメスターのワークアウト(28〜40週)
- 妊娠を通して避けるべき運動まとめ
- 最後に:自分の体に優しく
妊娠中の安全な運動ルール
どのトリメスターにも共通する、重要な安全原則です。
-
“会話テスト”を使う
運動中、普通に会話ができる程度が中強度。息が切れて話せないなら強すぎます。 -
水分補給を徹底
運動の前・中・後に必ず水を飲むこと。妊娠中は脱水になりやすいです。 -
体を過熱させない
暑い場所・湿度の高い場所での運動は避ける。
ホットヨガやホットピラティスも危険です。 -
体の声を最優先に(NEW黄金ルール)
「痛みなくして成長なし」は妊娠には絶対に当てはまりません。
疲れすぎている、痛い、気分が悪い → 即ストップ。 -
適切なギアを使用
サポート力のあるスポーツブラと靴は必須。 -
ウォームアップとクールダウンは必ず
妊娠中の筋肉は怪我しやすいため、5〜10分の準備運動と軽いストレッチは必須。
危険サイン:即運動を中止して医師に連絡
YMYL(Your Money or Your Life)項目として最も重要な部分です。
以下の症状が出た場合、すぐに運動を中止し医師へ連絡してください:
- 性器出血
- 継続的で痛みを伴う陣痛
- 羊水漏れ(突然の“ごぼっ”も、少量の“チョロチョロ”も危険)
- めまい・失神感
- 胸痛・動悸
- 運動開始前から息苦しい
- ひどい頭痛
- 平衡感覚に影響する筋肉の脱力
- ふくらはぎの痛みや腫れ(血栓の可能性)
第1トリメスターのワークアウト(1〜13週)
どう感じる?
この時期は喜びと“サバイバル”が混ざったような時期。
見た目はまだ変わらなくても、つわり・極度の疲労・眠気が最高潮。
この時期の目標
自分の体に耳を傾け、無理なく習慣を作ること。
元々運動していた人は軽く継続可能。
初心者も、散歩などの軽い活動から始められます。
自分の週数がわからない?
成長の様子を知りたい?
→ 妊娠週数計算ツール で確認できます。
第1トリメスターに安全な運動
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ウォーキング
最強の妊娠エクササイズ。
低負荷・無料・場所を選ばない。 briskな30分で十分。 -
水泳・アクアエクササイズ
浮力のおかげで腰や関節の負担が劇的に軽減。妊娠40週まで続けられる最高の有酸素運動。 -
妊娠ヨガ(プリネイタルヨガ)
ストレスを和らげ、血流改善、柔軟性もUP。
「妊娠向けクラス」を選ぶことが必須。 -
エアロバイク(室内)
転倒リスクがなく安全に心拍を上げられる。 -
軽い筋トレ(修正バージョン)
重量は下げ、回数を増やし、フォーム重視へ。息を止めない。 -
骨盤底エクササイズ(ケーゲル)
妊娠中・産後の尿漏れ予防に。早く始めるほど効果的。
修正点と避けるべきもの
避ける:
- ホットヨガ
- 激しい接触スポーツ
- 転倒リスクの高い運動(スキー、乗馬、屋外サイクリング)
- スキューバダイビング
修正:
疲れた日は10分の散歩だけでもOK。
体調の“波”を大切に。
第2トリメスターのワークアウト(14〜27週)
どう感じる?
“黄金の時期”。
つわりも落ち着き、エネルギーが戻り、お腹も丸くなり始める。
この時期の目標
背中・体幹・お尻の筋力をしっかり確保すること。
これらは第3トリメスターの痛みを防ぐ重要筋群。
第2トリメスターに安全な運動
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ウォーキング & 水泳
引き続き基礎の運動として最適。 -
プリネイタルヨガ
この時期は「スペースを作る」「バランス」「腰痛予防」がテーマ。 -
安全なコアトレーニング
crunchは禁止。
OK:- 骨盤 tilts(キャット・カウ)
- バードドッグ
- 立位の体幹安定エクササイズ
NG: - プランク
- くびれ作りの腹筋運動
- お腹が“コーニング(中央が盛り上がる)”する動き
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筋トレ
背中の「引く」動き、ヒップ強化が鍵。
(バンドのロウイング、スクワット、グルートブリッジなど)
重要な修正点(CRITICAL)
絶対に避ける:仰向けになる運動
理由:16〜20週以降、重くなった子宮が下大静脈を圧迫 → めまい・吐き気・血流低下。
修正方法:
胸の運動などは、背中を30〜45°起こして行う。枕やインクラインベンチを使用。
避ける:
- 高衝撃運動(ジャンプ系)
- 深いツイスト
- バランスを崩しやすい動き
第3トリメスターのワークアウト(28〜40週)
どう感じる?
いよいよ最終ステージ。
お腹の圧迫、腰痛、むくみ、疲労などが増加。
睡眠も取りづらい。
この時期の目標
維持・可動域・出産準備。
「鍛える」よりも「快適に過ごす」「体を整える」ことがメイン。
第3トリメスターに安全な運動
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ウォーキング
スピードが落ちても、距離が短くてもOK。 -
水泳
浮力=天国。腰痛・関節痛の救世主。 -
骨盤底筋トレーニング
出産前は- 締める(Kegels)
- ゆるめる(Reverse Kegels)
の両方が重要。
ヨガはこの“ゆるめ方”を習得できる。
-
ストレッチ & モビリティ
肩・腰・骨盤の軽いストレッチが大きな効果。 -
バースボール(安産ボール)運動
骨盤を円・8の字に動かす → 痛み緩和 + 赤ちゃんの下降準備に良い。
修正点と避けるべきもの
避ける:
- バランスが不安定になる動き
- 恥骨や骨盤の痛みが出る動き(SPDの可能性大)
- プランクなど腹圧が上がる運動
修正:
体調は日々急変する。
30分→10分×3回でも十分。
妊娠を通して避けるべき運動まとめ
- 接触スポーツ(サッカー、ボクシング等)
- 転倒リスクのある活動(スキー、乗馬、自転車など)
- スキューバダイビング、高高度トレーニング
- ホット系クラス
- 第1トリメスター以降の仰向け運動
- 重すぎる高重量リフト
最後に:自分の体に優しく
最も大切なのは、自分の体の声を聞くこと。
妊娠中は“自己ベスト更新”の時期ではなく、
“体をケアし、赤ちゃんを育てる”時期。
ある日はワークアウトが気持ちよくできる。
別の日は散歩10分だけで十分。
どちらも正しい選択。
Medical Disclaimer
本記事は情報提供およびライフスタイル目的であり、医療アドバイスではありません。
新しい運動プログラムを始める前には、必ず医師や助産師に相談してください。
About the Author
Abhilasha Mishra は女性の健康・妊活・妊娠を専門とするヘルスライター。
複雑な医療情報をわかりやすく伝えることを使命としています。